公衆衛生学って何するの?
はじめに
大学は理学療法学専攻を卒業した私が、国際保健分野に興味があって、進学した公衆衛生学大学院について。日本ではあまり馴染みのない分野だと思うので、大学院でどんな勉強をするのか、どんな人が通っているのか、大学院卒業後は、どんな進路があるのかなどを紹介したいと思います。
公衆衛生学とは
公衆衛生(こうしゅうえいせい、英: public health)は、集団の健康の分析に基づく地域全体の健康への脅威を扱う。 *1
公衆衛生とは、「組織された地域社会の努力を通して、疾病を予防し、生命を延長し、身体的、精神的機能の増進をはかる科学であり技術である」*2
らしいです。
要するに、臨床医学が個人を対象とした医療であるのに対して、公衆衛生学は、集団を対象にした医療というのが自分の中ではしっくりくる説明です。扱う疾病も、生活習慣病や感染症などを対象にします。
大学院では何をするか
国際基準では、公衆衛生学大学院は、以下の5分野の教育を体系的に行うとされています。修了すると、公衆衛生学修士(Master of Public Health)が授与されます。
- 疫学(epidemiology)
- 生物統計学(Biostatistics)
- 社会科学・行動科学(Social and Behavioral Sciences)
- 保健行政・医療管理学(Health Service Administration)
- 国際保健・環境保健学(Environmental Health Sciences)
日本では、まだ14大学(国立10、私立4)しかありません。
公衆衛生大学院設置大学
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どんな人が通っているのか
公衆衛生学自体、扱う分野がとても広いので、各大学でそれぞれだと思うのですが、自分の研究室には、多くの職種の方々が通われています。
医師はもちろん、保健師、助産師、薬剤師、臨床工学技師、理学療法士など多職種の医療従事者の方が、社会人大学院生として通われています。
それぞれにしっかりと目標があり仕事と両立させながら大学院に通われているすごい方々です。
臨床では、なかなか関わることのない方々と色々お話する機会があり、面白い人達ばかりです。そういった方々との人脈はMPHで得られる大きなものの一つだと思います。
卒業後の進路は、、
自分の研究室は、社会人大学院生が多いので卒業後はそれぞれの職場に戻られる方がほとんどです。国際保健分野に最も力を入れている長崎大学のMPH修了後の進路は非常に多岐に渡るので参考までに、、
さいごに
MPHは、日本ではあまり馴染みのない分野ですが、「国際保健のパスポート」といわれるほど、国際保健では必須で、国際保健の基礎と言われている分野です。将来、国際保健の舞台で活躍したい、集団を対象とした医療に興味があるなどの方は、調べてみる価値はあると思います。